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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 僕にしてみても、初めから彼女のことを拒絶しようというつもりはなかった。その容姿に対して気後れしてはいても、その点では『父親』の場合とは違って分かり合える部分もあるように感じたからだ。

 まだ彼女が家に来て間もない頃。居間でスマホを弄っている姿が、不意に寂しげに見えた。そんな彼女に近づき、僕は思い切ってこう声をかけている。


「コ、コレ……冷蔵庫にケーキがあった、から……」


 上擦る声でなんとか要件を伝えると、僕は視線を逸らしながらイチゴのショートケーキを乗せた皿を差し出す。そんなことで打ち解ける――少なくとも当面、話すきっかけにでもなれないいのだと思っていた。

 でも――


「……」


 彼女は机の上に置かれたケーキを一瞥しただけ。一切、僕の方にその視線を向けることなく、頻りにスマホの操作を続けてゆく。


「あの――」
「なに?」


 ため息交じりの反応が、僕の言葉の先にかぶせられて――焦った。
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