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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

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改めて現在から振り返り、六年半余り前。
中学一年生だった、その頃の僕は――まだ青々とした思春期の端っこに片足を乗せて、その不安定加減に戸惑いながら日々を過ごしていたように思う。
その原因の主たるところは、本来安住となるべき家庭の中にこそ存在していて。一応は家族だなんて言ってはみるけれど、本当はそんなものに何一つ実感なんてなかった。
母さんが再婚した男の人、それはやはり――駅前とかで頻りに見かける只の大人のおじさんであるように思われ。その人が例え紙の上であっても僕の父親であるという事実に、僕はそこはかとなく居心地の悪さを覚えるより他はなかった。
僕がその様な眼差しを向けるから、それは向こうからすれば面白い筈もなくって。最初の内は勤めてにこやかに接して来てもいたが、僕の態度が変わらないを知るや、やがて無駄な労力を浪費するのは止めたみたいだ。僕が中学に上がったこの頃には、ほとんど口を利くことさえなくなっている。
それでも、それはまだましな方。悩みの要因の中の、ごく一部。僕が真に精神的な圧迫を強く感じていたのは、彼女から――
そう。僕の名目上の義姉(あね)――なので、あった。

