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スローバラードを君に
第2章 first love は突然に
「……君も一緒に出ない?」
「そうしたいけど……っムリ……走れないっ……」
俺は苦笑した。
「まあ……いいや。今日は俺一人で何とかやれる……それに……君をステージに上げたくない」
「……何よ……それっ」
ムッとする彼女の小さな手を取ると、俺は膝まずいて素早く甲にキスをした。
風に揺れる長い髪が俺の頬を撫でた。
驚きに丸くなる彼女の瞳がこちらを見ている。
「歌う君を、独り占めしたいからさ……」
俺はそう言うと、踵を返して全速力で走り抜けた。
ステージへ帰る為に。
彼女の名前は、ヒメと言った。
走りながら、その名前を胸の中で繰り返す。
ヒメ……
ヒメ……
それは突然訪れた、初恋の様な出会いだった。

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