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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い

「透子ちゃんって……そういうとこあるよね」
「え……?」
「おとなしそうで、真面目そうなのに……突然ぐいぐいくるっていうか。
……さっきもだけど、ほら……10年前も」
思い出す。
あのときも、急に大胆に俺を誘った。
今日も、俺の決意を打ち砕いた、普段の彼女からは想像できないその眼差しと言葉の強さ。
……思わず、魅了されるほどの。
「先生は……やっぱり、いい子の方が好き?」
躊躇いがちに問いかけてくるその姿からはとても想像できない。
弱さと強さを同居させている彼女の思考は、時に穏やかに、そして時に激しく俺を……俺の気持ちを乱し、虜にさせていく。
……俺の思いなど何も気づいていないかのように、心配そうに上目使いで見つめてくるその表情は計算なのか、素なのか……判断などできない俺は、ただもう彼女にさらにおちていくのみで────。
「……いい子はやめるってさっき言ってたくせに」
からかうように彼女の言葉を持ち出せば、そうだけど……とそれを認めながらも、どこか不満そうにこぼす。
言動のすべてに、魅せられる。
深く、深く。
何を言っても、言われても。
目の前にいるこの子が、ただ、可愛くて。

