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水蜜桃の願い
第5章  甘やかな願い


「……さすがに、そこまでは時間的に無理」


今は仕事中だという現実に、歯噛みしながらそう告げた。

あ……と、我に返ったように呟き、俯いて唇を噛む彼女に


「ここから先は……そう簡単に止めらんなくなると思うから」


思いは同じだと、そう続ける。

時間に追われるような状態で慌ただしく抱くなんてこと、したくなかった。

伝わったんだろうか──彼女が俺の服をぎゅっと強く握る。


「……仕事終わったら連絡する。
ちゃんと話そう。またそのときに」


俯いたままで、こくんと頷かれ。

俺を見てくれないことに少し寂しさを感じ、その頬に触れた。
火照りを感じた指先。
そのまま撫で上げると、ようやく彼女は顔を上げ、先生……と俺を呼んだ。


「私に……ひいてない?」


突然の問いかけに、え? と聞き返す。
ひいてない? って……俺が?


「こんな私の姿、幻滅したんじゃない……?」


その自信なげな態度に、さっきとはまるで違う彼女を感じ思わず口元が緩んだのがわかった。

本当に何て言うか、この子は────。


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