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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い

「……先生……っ……」
首に回された両腕。
絡みつかれるような感覚に、動くことなど出来ずに。
「逃げないで、私から────……」
切なげな吐息混じりの囁きに続き、唇に感じたもの。
ああ……と、思い出す。
何度も口づけたいと思っていたその唇。
ふれたくて、愛したくてたまらなかったこの子の────。
不意に離された唇。
一瞬にして覚えた、喪失感に似た感覚と
「ん、好き……っ……」
落とされた、色の混じった甘ったるい呟き。
──もう、それらに抗えず、俺は。
「……っ、知らないからな、もう……!」
今までのすべてを無にするような言葉を口にして、彼女の唇を自分から求めた。
再び戻ってきた、熱さ。
ぞくぞくと昂る身体。
少しだけ引き気味になった彼女の身体を身体で押した。
よろけるように後ずさっていくその背中が壁へとぶつかるまで。
もう逃げ場のない彼女の頬を、両手で包み、あ……と開いたその口に、舌をねじこませ、待っていたかのように絡ませてきた彼女の舌に、俺もまた、絡ませ返す。

