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sunset~君の光になりたい
第57章 嵐の前②
長い腕が包み込む様に抱き締めて来て、里沙は暖かさと幸せにうっとりと酔う。
「さっき、僕に何か言いかけましたよね?」
「……」
「里沙さん?」
「ううん、何でもない――」
里沙は武彦を倒し、唇にキスした。
すると武彦も里沙の頭を引き寄せ、唇を啄む鳥みたいなキスを何度もする。
「……ねえ……もっと」
言葉の途中で、優しいキスは咥内を浚うような激しい物に変わり、里沙はもう何も言えなくなる。
再び、身体を愛し始めた武彦の瞳を見つめながら、里沙は胸の中で叫んでいた。
――『お前は、俺だけの物だ』
そう言って欲しい――
明日、もう一人のタケヒコが来る。
私の心がどんな風になるのか自分にもわからない。
今、とてつもない大きな黒い影が千波や皆に迫っているのかも知れない。
そんな時なのに私は、今もう一人のタケヒコの事で一杯になって居る。
武彦に抱かれて声を上げているのに、あの人の事を考えてしまう。
頭に浮かぶタケヒコの姿を振り切る様に、里沙は武彦にしがみついた。

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