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sunset~君の光になりたい
第56章 嵐の前
「千波!」
ヒロは、思わず千波を強く抱き締めていた。
彼女の手から、作りかけのくす玉が落ちる。
「……嘘……やろ?……千波……」
千波は、最初体を固くしていたが、更にきつく抱き締めると小さな溜め息を吐いて呟いた。
「ヒロさん――痛い……」
「千波!」
「?」
腕を掴んだまま身体を離し、その瞳を食い入る様に見たが、千波はキョトンとして笑う。
今しがた、ヒロを見て言った言葉をもう忘れているかのようだった。
「どうしたの?」
「ち、千波……わかるか?俺の事……」
震える指で頬に触れると、千波はクスクス笑った。
「当たり前じゃない。ヒロさんてば――」
その言葉を最後まで聞かず、ヒロは柔らかい千波の身体を思い切り抱き締める。
捕まえて居ないと翔んで行ってしまいそうで、そうはさせまいと言わんばかりに強く。
苦しそうにまた千波が溜め息の様な声を小さく漏らすと、ヒロはその唇を直ぐ様塞いだ。
『貴方の事を忘れる可能性があります』
松ノ内の言葉がまた頭の中で回る。
ヒロは、それを打ち消すかの様に、何度も何度も千波の唇を貪り、そして強く抱き締めた――

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