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sunset~君の光になりたい
第26章 醒めない夢

「は――っ……は――っ……」

 里沙は息を乱し、楽屋のドアの向こうを睨む。

(――そう、これは夢。甘い夢なんか、この世の中にあるわけがない。
 幸せな夢があるなら――
 何故あんなおぞましい事が千波に起こるの?)

 不意に、幼い頃の記憶が蘇り体を震わせた。
 一瞬、何処を見ていたのだろう。
 体がふわりと軽くなり、頬に冷たい何かが当たった。
 目の前には、濡れた髪のままで見つめる二つの黒い瞳がある。 
 いつの間にか、里沙の身体は逞しい腕で抱き上げられていた。
 悲鳴をあげそうになるが声が出ず、里沙はそのまま意識を失ってしまう。

「タケヒコ?大丈夫か……?し、刺客は相当強いんやろ?」

 楽屋から顔を半分だけ覗かせたベースの信生(のぶお)が怯えている。
 タケヒコは、気を失った里沙の顔をじっと見つめると、ふっと笑った。

「何言うてんねん。ただの可愛い女の子やんか」

 ――タケヒコに抱かれているような気がする。
 これは夢なの?
 もし夢ならもう、醒めなくてもいいーー

 夢うつつの中、里沙はそう願っていた。
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