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sunset~君の光になりたい
第21章 恋の褥で
「千波!俺を見ろ!」

 暴れる千波の腕をやっと掴むと、ヒロが目を見て語りかけた。

「千波は、可愛らしい優しい女の子や!俺は知ってる!」

 千波の呼吸はまだ荒く、顔も青い。だがもう暴れる様子はないようだった。

「そうや!これな!」

 ベッドの脇に置いてあった人形を渡す。

「それ、この間の動物園でお前に渡すの忘れてたんや……可愛いて、欲しがってたろ?」

 ユーモラスな表情をしたその人形を見て、強張っていた千波の顔がみるみる和らいでいく。

「カピバラ……さん」
「そうや。その笑顔や」
「……え?」
「千波を初めて見た時"sunset"に合わせて楽しそうに踊ってたよな?
 あの笑顔が今でも忘れられない……」
「ヒロさん……」
「あの時から俺は千波が大好きなんや……俺が……
 大好きな千波を……汚れてるとか……そんなん思うわけないやろ!」
「――!」

 千波の目から大粒の涙が溢れて落ちる。
 二人はどちらからともなく強く抱き合った。

「ヒロさん……ゴメンなさい……私」
「謝らんでいい……」
「私……自分でも、まだよくわからないの……何が自分に起きたのか……」
「……うん」
「思い出したら……どうなるのか怖い……」

 ヒロは千波をいっそう強く抱きしめた。

 ――大丈夫だ。俺は、全部受け止めてみせる。

 ヒロは、心の底から強くそう思っていたが、これはほんの始まりに過ぎなかった。



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