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第27章 群がる蟻たち

　「荷物はここに置いておきますよ。お嬢さん。」
　「じゃあ、あとで迎えにきますから、それまではゆっくりしてくださいね。」
　「柚子ちゃん、またあとでねぇ。」

　3人が口々にそういうと部屋のふすまは閉じられた。

　時刻はもう10時近くなっている。
　さすがにちょっと疲れていた私は、テーブルの前に座るとバタリと伏せってしまった。

　空港に着いてからここまで、ゆっくりと考える余裕もなかったけれど、一人になってみると少しづつ状況がリアルに感じられてくる。

　準備ができたら迎えが来て…それで私にいろんな男の人が襲い掛かってくる…結局そういうことのハズだ。
　…あれ、清隆くんも「あとでね」って言ってた…ってことは、その男の人たちの一人なのかな。

　後で、ってどれくらい？5分？10分？1時間？なんにしても、もうそう長いこと先じゃあない…
　勢いと寂しさでここまで来ちゃったけど、私…本当にこれでいいんかな。


　「お姉ちゃん、もうすぐ私、いろんな男の人のオモチャにされちゃうよ？本当にそれでいいの？」


　スマホを目の前において、そんな風に念じてみたけれど、スマホはピクリとも動かない。
　メールもラインも来ていなかった。