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迎春花が咲く
第3章 嫁ぎ先
「…さま。志津恵さま」
伊野さんの声で起こされる。
「ん……」
「もうすぐお屋敷に着きますので準備の方を……」
「あぁ…はい」
伸びをする代わりに首を回す。
どれくらい走ったんだろう。
クルマの外にはぼんやりと光る橙の陽が広がっていた。
少し先でぼんやりと家の明かりが見える。あの家だろうか。
屋敷はかなり大きい。だが周りは木だらけの山奥のようだった。
……あまり明るくないせいもあってまるで怪人の館のようだ。
「大丈夫です。私らが誠心誠意込めてお世話いたしますのでご安心くださいませ」
顔に出ていたのだろうか。伊野さんは優しくそう言った。
どういう確証があってそんなことばかりいえるのか分からなかったけれど、今はそんな言葉でさえも心強かった。
クルマが止まる。

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