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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 あれほど荒れ狂った夜は一夜して鎮まり、空も海も穏やかに凪いでいる。聞き慣れた潮騒の音がどこか懐かしく耳に響き、まるで子守歌を聞いた赤児のように心が安らいでいった。
 すぐ傍らでは、時繁が熟睡している。何もかも委ねて眠り込んでいるのは、彼が楓を信頼してくれている証だと思うと、彼への愛しさがふつふつと湧いてくる。
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