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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》

母は政右衛門の他にも何人もの男から求婚をされたというほどの佳人であった。お千香は母親似で、少女の頃から御所人形が歩き出したように愛らしかった。十六歳になった今は、しっとりと朝露を帯びた蕾のような可憐な美貌は人をひとめで惹きつける。
お千香は小さな吐息を洩らし、立ち上がった。ここにいると、次々に父や母のこと、両親との楽しかった想いでばかりを思い出してしまう。想いを振り切るように首を振り、仏間を出ると、廊下を隔てて向かい側の自室へと籠もった。
お千香は小さな吐息を洩らし、立ち上がった。ここにいると、次々に父や母のこと、両親との楽しかった想いでばかりを思い出してしまう。想いを振り切るように首を振り、仏間を出ると、廊下を隔てて向かい側の自室へと籠もった。

