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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》

おさとが亡くなったのは、お千香が十歳のときであった。お千香がまだ己れの苛酷な運命について何も知らぬ頃である。政右衛門は早くに母親を失った一人娘を憐れみ、掌中の玉と可愛がった。いつか我が身も大人になったら、父と母のように愛し合い、幸せな家庭を築くのだと信じて疑いもしなかったお千香だった。が、十二歳の時、父政右衛門から、そのことについて、はっきりと教えられた。
自分は生涯、誰とも結婚することはできない。両親のように幸せな恋や結婚を望み、夢見ることは永遠にできないのだと。
自分は生涯、誰とも結婚することはできない。両親のように幸せな恋や結婚を望み、夢見ることは永遠にできないのだと。

