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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》
行灯がほの暗い光を投げかけている部屋は、がらんとして淋しげに見えた。火鉢が置いてあり、室内は十分に温まってはいたが、心の寒さまでを癒やしてはくれない。お千香は無意識の中に自分の身体を両手でかき抱いた。
不思議なことに、そんなはずはないのに、戸外で降りしきる雪の音が聞こえてくるような気がした。それほどに静かな夜であった。夕刻から降り始めた雪は、このまま降り続ければ、朝方には積もっているかもしれない。