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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
サヨンの側には繕い終えたばかりのトンジュのパジとチョゴリが一枚ずつ畳んで置いてある。
巾着は簡単にできるので、数個纏めて作った。刺繍はそう手の込んだものではないが、できるだけ華やかに見えるものをと思い、四季それぞれの花を挿すことにした。春の梅、夏の紫陽花、秋の紅葉、冬の椿。これは多少日数はかかるだろうけれど、刺繍をするのは久しぶりなので胸が躍る。漢陽にいた頃は、一日の大半を刺繍ばかりして過ごしていたのだ。