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キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏
第1章 こんにゃくと、レジのお姉さん
 とはいえ、今回は家からチャリンコで十五分ほどの農協のスーパーで「板こんにゃく」を買うだけだ。お母さんにおつかいを頼まれた子供のように振る舞えばいい。出かける前はそう気軽に考えていたのだが、いざ現場に立つと、エロ漫画を買うよりもハードルが高いように思えてきた。
 エロ漫画を欲しがるのはただのエロガキだ。しかし、こんにゃくでオナニーをするなんてエロガキどころか、陰湿で気持ちの悪いド変態ではないか。レジのお姉さんもゴキブリを見るような嫌悪の視線を向けてくるに違いない。
 今一度、レジのほうを見た。レジは三台あるが、昼のピークを過ぎているせいか、あのお姉さんしかいない。いまは暇そうに腰に両手を置いて、首をぐるりと回している。
 年齢は二十歳ぐらいだろうか。ここからは後ろ姿しか見えないけど、すらりとしたスタイルで、長い髪を後ろに一つでまとめている。服装は白のTシャツにスリムなジーンズで、緑色のエプロンを着けている。いかにも農協で働いている地味な女性って雰囲気だけど、ぴったりと張りつめたジーンズ越しにうかがえる小ぶりなお尻はなんだかセクシーだ。
 あのお姉さんもセックスするのかなあ。エロ本の女の人みたいに、四つん這いでスッポンポンになって、お尻だけをひょいと突き上げながら、ニッコリと笑うのかなあ。
 あぁ、だめだ。ちょっと前屈みにならないと股間の膨らみを隠しきれなくなってきた。それにレジのお姉さんがエロ本に出てくる女の人に思えてしまって、こんにゃくを買う勇気も完全にうせてしまった。
 日をあらためよう。板こんにゃくに後ろ髪を引かれながらも、祐介は未練を断ち切るように、手ぶらですたすたとスーパーから出た。
 スーパーの敷地には車が十台ほど駐車できる駐車場がある。隅のほうには、屋根付きの自転車置き場があり、祐介のチャリンコもそこに停めていた。
 夏の盛りとあって空気がむせかえるほど暑く、スーパーの真向かいにある雑木林からは、猛暑を盛り上げるように蝉の大合唱が続いていた。
 目的を達成できなかったことに落胆しながら、チャリンコを出して、サドルに跨がった。仕方ない、帰るか。早くも額からにじみ出てきた汗を手の甲でひとふきしてから、ペダルを踏みこもうとした。
 タッタッタッとスニーカーの駆ける音がしたかと思えば、スーパーの出入り口から、先ほどのレジのお姉さんが勢いよく飛び出してきた。
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