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キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏
第1章 こんにゃくと、レジのお姉さん
時計を見ると、ちょうど十六時だった。お姉さんは十六時半までレジにいると言っていたから、今からすぐに向かえば、ぎりぎり間に合う。
冷やかされるかもしれないし、あっけにとられるかもしれない。
それでもお姉さんに会いたかった。そう、会いたいのだ。いまでも不思議なのは昨日、一緒に歩いたときだ。同級生とはうまく話もできかったのに、お姉さんとはなぜか普通にお喋りができた。自分の思ったことがそのまますらすらと口から出て、ちゃんと会話のキャッチボールもできていた。祖父や母親と喋る時ともまた違った感覚だった。お姉さんが笑ってくれると、自分も自然と嬉しい気持ちになった。言葉を交わすたび、どんどん気持ちが近づいていって……なんだろう。心がふわふわ、体もふわふわと、お姉さんとふわふわ空に浮いていきそうな変な心地があった。
あの感覚をまた味わいたい。
ああ、そうか。お姉さんに会うだけなら、こんにゃくなど買わなくてもいいじゃないか。何か別のもの……例えば、お菓子とかボールペンを持ってレジに行けば、とりあえずお姉さんと会話はできるではないか。
名案だ。急ごう。
祐介は家を飛び出してチャリンコに跨がった。雨上がりとあって、道は濡れていて、夏の草木の匂いも強かった。
必死にペダルを漕いだかいもあって、十五分の道のりも、十分足らずで、農協のスーパーが見えてきた。スーパーの前の雑木林からは、祐介を待っていたように蝉が大合唱していた。
まだ雨滴のしたたる屋根付きの自転車置き場に、チャリンコを停めて、祐介は外から店内を覗いた。
雨上がりの空のように、祐介の表情がぱぁと明るくなった。
今日は黒のTシャツにスリムなジーンズを穿いて、緑色のエプロンをつけていた。三台あるレジには、彼女しかおらず、ちょうどレジを打っている最中だった。中年の女性客に何か話しかけられていて、お姉さんは愛想良く微笑み、うなずいていた。
こちらにはまだ気づいていないので、祐介はお姉さんにばれないように店内へ入った。お姉さんを驚かせてやろう、とイタズラ心も生まれていた。こんにゃくではない何かは、風船ガムにした。値段も安いし、かさばらない。ぶどう味の風船ガムを一個握りしめ、レジへ向かった。
タイミングよく、他のお客さんは並んでいなかった。
「あっ」
冷やかされるかもしれないし、あっけにとられるかもしれない。
それでもお姉さんに会いたかった。そう、会いたいのだ。いまでも不思議なのは昨日、一緒に歩いたときだ。同級生とはうまく話もできかったのに、お姉さんとはなぜか普通にお喋りができた。自分の思ったことがそのまますらすらと口から出て、ちゃんと会話のキャッチボールもできていた。祖父や母親と喋る時ともまた違った感覚だった。お姉さんが笑ってくれると、自分も自然と嬉しい気持ちになった。言葉を交わすたび、どんどん気持ちが近づいていって……なんだろう。心がふわふわ、体もふわふわと、お姉さんとふわふわ空に浮いていきそうな変な心地があった。
あの感覚をまた味わいたい。
ああ、そうか。お姉さんに会うだけなら、こんにゃくなど買わなくてもいいじゃないか。何か別のもの……例えば、お菓子とかボールペンを持ってレジに行けば、とりあえずお姉さんと会話はできるではないか。
名案だ。急ごう。
祐介は家を飛び出してチャリンコに跨がった。雨上がりとあって、道は濡れていて、夏の草木の匂いも強かった。
必死にペダルを漕いだかいもあって、十五分の道のりも、十分足らずで、農協のスーパーが見えてきた。スーパーの前の雑木林からは、祐介を待っていたように蝉が大合唱していた。
まだ雨滴のしたたる屋根付きの自転車置き場に、チャリンコを停めて、祐介は外から店内を覗いた。
雨上がりの空のように、祐介の表情がぱぁと明るくなった。
今日は黒のTシャツにスリムなジーンズを穿いて、緑色のエプロンをつけていた。三台あるレジには、彼女しかおらず、ちょうどレジを打っている最中だった。中年の女性客に何か話しかけられていて、お姉さんは愛想良く微笑み、うなずいていた。
こちらにはまだ気づいていないので、祐介はお姉さんにばれないように店内へ入った。お姉さんを驚かせてやろう、とイタズラ心も生まれていた。こんにゃくではない何かは、風船ガムにした。値段も安いし、かさばらない。ぶどう味の風船ガムを一個握りしめ、レジへ向かった。
タイミングよく、他のお客さんは並んでいなかった。
「あっ」

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