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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい

 朋子が戻ってきてすぐに、達紀は二軒目を提案した。朋子はノリノリで了承した。
 居酒屋を出ると、外は涼しかった。今は十月。夏の暑さが静まり、ちょうど過ごしやすい気温だ。かつ、かつ、かつ、とリズムよく響く彼女の歩く音。
 レザーのブーツをそっと眺める。エナメル素材のものとは少し違うが、昔妄想してオカズにまでしてしまった彼女のロングブーツ姿を、今、生で見られているのだ。そう思ったら、意識するなという方が無理な話だ。
 あの足に、そっと挟まれてみたい。

「智は、酔った?」
「え……?」

 急に話しかけられて困惑してしまう。

「あー、これはだいぶ酔ってんなあ。あたし達の会話聞いてた?」
「智は弱いからなあ、しょーがない」
「うん、なんかほわんほわんする」

 朋子が噴き出す。

「何それ可愛い」

 かつ、かつ、かつ。催眠術のように、ブーツの音が僕の脳を揺らした。


 僕が高三の時に気付いた性癖を、今まで誰にも言ったことはなかった。もちろん達紀にもだ。言えなかった、という方が正しい。だって、ブーツで挟まれたいとか踏まれたいとか、コアな趣味を誰かに話して引かれてしまうのが怖かった。
 ネットで欲を満たすことはあったが、ネットの中はどこか現実とは違う世界な気がした。そこで発散し、現実に戻ってきたら、普通のセックスのことを考えるようにした。おっぱいとか、生足とか、みんなが興奮するもので、僕も興奮したいと思ったから。
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