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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい
「智も、相性合う人が早く見つかるといいね」
「え」
「体の」
「僕は……」
上手く言葉が浮かばず、押し黙る。
「あたしが働いてたとこにもいろんな人居たよ。それで思ったんだ。性癖って、ほんとにいろんなの持った人がいるんだよ。でもそれって全然特別なことじゃない。だって、食の好みも、ストレスの発散方法も、好きな人のタイプだってみんな違うでしょ? 性癖だって一緒だよ。何が好きか、楽しいかってこととなんにも変わらない。だから不安に思わなくて大丈夫」
「……ありがとう」
「あたしの性癖も教えてあげようか?」
「え……っ」
どきりとした。
ふいに頭を抱きしめられる。ふわりと漂う朋子の香り。なぜか安心できるような気がした。
「あたしはこうやって、男の子を抱きしめるのが好き。不安にならないように、少しでも悩みを忘れられるように、ぎゅってして、背中をとんとんしてあげたい」
「……母性の塊だ」
「あはは」
なんだかとてもリラックスしている自分に気付き、智は苦笑した。
「そういえば、お金、いくら?」
「ああ、たまたま服とか持ってたけど、これは仕事じゃないよ」
「なら、ホテル代出す」
「じゃあ、そこは遠慮なく。ありがと」
朋子は微笑んだ。そして、僕の耳元で囁く。
「一夜だけの二人の秘密だね」

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