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クラゲ色の夏
第1章 クラゲ色の夏

「た、大変! ことみさんが溺れて……」
「溺れて……ないよ?」
「え」

 浜にいた先生に伝えようとしてくれたけど、そんなことはなかったから、わたしは否定した。
 集まってきた生徒たちの中にいた由美も、わたしと遠藤くんを交互に見て言った。

「ことみちゃん泳ぐの、てか浮くの得意だもんね」
「うん……」

 一応泳げもする。犬かきと、なぜか背泳ぎだけ。

「ご、ごめん! 浮き輪から落ちるの見えたから、てっきり溺れてるのかと」
 
 と遠藤くん。

「そんなこと言って、本当は女子の体触りたかっただけじゃないよな?」

 と男子。

「あはは、やだー、遠藤くん怖い」

 続いて女子も。

「ち、違うって! 俺、なんもしてないよ、ね?」
「……」

 されてない。それを伝えようとして、なんて言葉にしようかちょっと考えてしまった。すぐに言葉にできなかったら。

「あの、本当に違うから! その、ごめんことみさん……! 腕とか触っちゃって」
「あの……」

 走っていってしまった。遠藤くん、初めて挨拶以外で喋ったかもしれない。

「どした?」

 先生の間延びした声に、生徒たちは振り返る。

「溺れてなかったけど、えっと、溺れてるって思ったらしい遠藤くんに、助けてもらいました。変なことは、されていません」
「…………そうか」

 周りから、笑いが起こる。

「遠藤そういうやつじゃないから。セッカチだけど、いいやつ」

 遠藤くんと仲のいい、隣のクラスの男子生徒が言った。名前は、なんだっけ。思い出せなかった。
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