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クラゲ色の夏
第1章 クラゲ色の夏
そして七月二十六日の日曜日。担任の先生と共に、海に行った。観光地というほどではないから、人はまばらだった。
海で好きな遊び。それはプカプカ浮くこと。
昔からプールで浮くのが得意だったのだけど、海はもっと簡単に浮くことができた。塩水だかららしい。でも、ママに持たされた浮き輪はちゃんと使うことにしていた。
その日は快晴で、波も静かで、泳いでる生徒もたくさんいたし、浜辺でビーチボールやお城を作る同級生もいた。
わたしは一人、浮き輪の真ん中にお尻を入れるようにして上からは両手両足を出して、ただプカプカと浮かんでいた。
こうして、なんにも考えないでぼーっとしてる時間が好き。空も青くて綺麗だけど、海の中でも息ができたらいいのに。
そうしたら潜って、クラゲと一緒に海面を見つめて漂ってたいなあ。
どうしてわたしは、他の人と同じスピードで生きていけないんだろう。
そんなことを考えていた時だった。
波が少し高くなった。
一度浜に戻ろうかなと両足を水の中に戻そうとすると、滑って浮き輪の隙間から海に落ちてしまった。
一瞬見えた海の中は、とても綺麗だ。
そのまま顔を出した、まさにその瞬間だった。
真っ青な海に、突然褐色の何かが現れた。
「ん?」
何? と思う間もなく、体に何かが触れてくる。
隣のクラスの、確か遠藤(えんどう)くんて名前の男の子だった。
あれ、じゃあさっきの褐色の何かは、遠藤くん?
「大丈夫⁉︎ 水、飲んでない⁉︎」
「……?」
「浜辺まで距離ないからね、浮き輪にしっかり掴まって! 俺が引っ張るから!」
「……え?」
「怖くないよ!」
「うん」
別に、怖くない。海は気持ちいいから。
それでも必死にわたしを乗せた浮き輪を引っ張って、浜辺に向かって泳ぐ遠藤くん。十メートルくらいだけど、たどり着く頃には遠藤くんはゼーハーゼーハーと息を切らしていた。

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