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妻であること、女であること(仮
第4章 私に似た女
「着きました」

「うん、ありがとね」

「じゃ、行きましょう」

それからイベント会場まで移動。
西谷君は前を歩き、私は、
半歩下がって後を追った。

悪い事なんてしていないんだけど。

「あ、あそこです。
もうイベント始まってますね」

西谷君が指差したのは一階のイベントホール。
私と西谷君は、
吹き抜けの二階からその会場を見下ろした。

「あ、相川さんだ!!
懐かし〜」

と言いながら、私は他にも知ってる人がいないか
イベント会場をゆっくりと見回した。

その時だった。

「降りてみます?」

「……」

「陶子さん?」

「あ、いい、いいや私」

「陶子さん?どうかしました?」

その時私は見つけてしまったのだ。
イベントの人混みの中に……、
尚太と、尚太と一緒にいる
私に似た女の人を。

「ごめん、ちょっと…トイレ行っていい?」

「大丈夫ですか?なんか顔色悪い」

あまりのショックに血の気が引いたのか、
座り込みたくなる。
やだ、どうしよう、心臓がバクバクしてどうにかなりそう。
手が冷たい。
手すりから手が離せない。
どうしよう…、帰りたい。

その時、西谷君は私を支えてくれていたんだけど、
触れられてる感じもしない。
西谷君の問いかけに何も答えられないまま、
西谷君に誘導されて近くのベンチに腰を下ろした。

「トイレまで歩けますか?
水、買ってきましょうか」

トイレに行きたいわけじゃない。
ただ、頭が真っ白になっただけ。

「ごめん、お水、いい?」

落ち着こうと思った。
とにかく落ち着かなきゃ西谷君に迷惑かけちゃう。

「ちょっと待っててくださいね。
動かないで。絶対に」

「うん」

そう言って駆けていく西谷君の後ろ姿を見ると、
一気に私の目から涙が溢れた。
ただ女の人と居ただけ。
その人との浮気現場を見たわけではない。
それなのに、こんなに動揺しているのは、
尚太とその人の距離があまりにも近かったから。
だから、今私が見た女の人と、元同僚が見た女の人は、
同じ人だと確信していた。
あんなに近距離で話しているなら、私と間違えてもおかしくない。
ということは、その人と二人で、何度も出かけているということ。

堂々と。

まるで夫婦のように。
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