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国選種付人物語
第1章 理沙さんと種付人
​一人残されたリビングで、理沙は小さく、息を吐き出し、朝食の片づけに取りかかった…。

​時計の針が午前10時を回った。

​家事が一段落した理沙は、リビングのソファに腰掛けている。

​緊張はしていない、と言えば嘘になる。

デニムのパンツに包まれた太ももが、無意識のうちにぴったりと合わさる。

けれど、理沙の心にあるのは恐怖や悲しみではなく、「早くこのタスクを消化したい」という、あくまでも事務的な焦燥感に近かった。

​ピンポーン…♪

​その時、静寂を破ってインターホンが鳴った。

​画面には、​ラフな半袖のTシャツにジーンズを纏った、一人の若い男の姿が映っていた。

(この人が国選種付人……?)

​訝しさを感じながらも、理沙はインターホン越しに声を掛ける。

​「はい、林葉ですが…」

​「あ、こんちわ! 国選種付人の川島です。林葉さんのお宅で間違いないですよね? いやー、道に迷っちゃってマジ焦りましたわー」 

​軽い…。

​画面の向こうの青年は、こちらの緊張を嘲笑うかのように、人懐っこい、そしてどこか不謹慎な笑みを浮かべていた。

​「……今開けますので、お待ちください」

​一度、呼吸を整え、玄関に向かう。  

カチャリと鍵を外し、ドアを開けた。

​目の前に、理沙がイメージしていた種付人とは正反対の男が立っていた。

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