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開発された女教師〜純愛の果ての真の快楽〜
第2章 静かなる予兆
研修が始まり1週間が過ぎる頃には七海の評価は完全に固まっていた。

講義中の隙のない受け答え、無駄のないテキパキとした立ち振る舞い。

周囲の男性教員たちは、小柄な彼女に対して、畏敬の念を込めて「完璧で、ちょっと冷たいデキる女」というレッテルを貼っていた。

七海自身もその評価を理解し、あえて周囲とは一線を画すサバサバとした態度を崩さずにいた。

​ただ一人、本庄秋という男を除いては。

​表向きは、清掃班のシフトをLINEで淡々と確認し合うだけの関係。

しかし、全体の目が届かない一瞬の二人きりの空間で、秋はまったく違う顔を見せてきた。

​講義の合間、人気の途絶えた廊下ですれ違った時のことだ。

すれ違いざま、秋がふっと長身を屈め、七海の耳元にその低い声を滑らせてきた。

​「橘先生、さっきの講義、さすがに眠かったですね。僕、後半の記憶がないです」

​悪戯っぽく細められた目と、子供が秘密を共有するような茶目っ気のある笑み。

驚いて見上げると、秋はすでに何事もなかったかのようにスマートな足取りで通り過ぎていく。

周囲に見せる穏やかで知性的な姿とは明らかに違う、自分にだけ向けられる無防備なギャップ。

その一言だけで、七海の胸は不意を突かれたようにトクンと跳ねた。

​またある日は、夕方の裏庭のゴミ捨て場だった。

重いゴミ袋を抱えた七海が小走りで向かうと、先に作業を終えていた秋が「あ、僕がやります」と長い腕を伸ばし、軽々と袋を受け取ってくれた。

「ありがとうございます、本庄先生」

いつもの冷淡なトーンで礼を言う七海に、秋は声を潜めてくすくすと笑った。

「橘先生って、頼るの本当に下手ですよね。そういう意地っ張りなところ、すごく可愛いと思います」

​「可愛い」という言葉の破壊力に、七海の白い頬が一気に赤く染まる。

サバサバとした理性で「からかわないでください」と睨みつけようとしたが、上から見下ろしてくる彼の瞳の奥に、吸い込まれそうなほどの深い光を見つけてしまい、言葉が詰まった。

​みんなが知らない秋の素顔を、自分だけが知っている。

その甘い特別感は、日を追うごとに七海の頑なな心をじわじわと溶かしていった。
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