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家庭教師先の人妻はとても淫ら
第1章 前編
知子は表情を和らげ、嬉しそうに微笑んだ。

その笑顔には上品な落ち着きと、少女のような無邪気さが同居していた。

ふと、知子は思い出したように自分の分のケーキを飲み込み、視線を落とした。

「そういえば誠から聞いたのだけど……辺見先生、彼女さんとお別れしたんですって? 先生みたいな素敵な方を振るなんて、信じられないわ」

知子の顔に影が落ちる。まるで自分のことのように、残念そうな瞳で晴也を見つめた。

「えっ!? 誠君、お母さんにそんなことまで……」

予期せぬ話題に、晴也は気まずそうに視線を泳がせた。

「いえ、大したことじゃないんです。僕が至らなかっただけですから。その……僕、少し奥手なところがあって。自分から踏み込めなかったのが、きっと原因なんだと思います」

寂しげに、自嘲気味な笑みを浮かべて答える。

「そうなの……。でも、そんな謙虚な辺見先生も素敵よ」

知子は静かに紅茶のカップをソーサーに戻した。

「それに、辺見先生は誠にも優しく接してくださるし、すごく真面目で一生懸命な方だから。きっと、これからもっと素敵な出会いがあるわよ」

彼女は優しい眼差しでそう言うと、テーブルの向かいから唐突に――どこか試すような真剣な眼差しで、彼に尋ねた。

「……ねえ、辺見先生。……人妻って、どう思う?」

晴也は、知子の唐突な問いかけに動揺し、口にしていたケーキの味が分からなくなった。

人妻…。つまり、目の前にいる知子のことだ。

彼の密かな憧れが、一瞬で意識の表面に引きずり出される。
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