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想いあふれて
第4章 遠い波音、溶け合う吐息
テラスにつながる大きな掃き出しの窓を開けたら、水平線の帯の青が滲んで見えた。
昼の光に煌めく海が奏でる優しい波のリズムは、
りつかにゆるやかな時の移ろいを感じさせてくれる。
けれど、夕暮れの薄紅色に海が染まると、波音は寂しさを呼び起こすざわめきへと変わってしまう───。
寂しい、という言葉が、ここ数日、りつかの胸の片隅で寄せては帰す波のように揺れている。
紫苑と一夜を過ごしてからというもの、寂しさという感情がりつかの心の中で、はっきりとした輪郭をもって居座ってしまったのだった。
啓のもとから離れて以来ずっと、心を重くするこの昏い感情の正体がわからずにいた。
けど、紫苑と体を重ね、一人でいることが辛かったのだと気づいてしまった今、寂しさを忘れさせてくれる何かに救いを求めている自分に気付いてしまったのだった。
今日は、カサブランカの休業日。
波音しか聞こえない店で、たった一人、座って考える。
何か、この孤独感を打ち消すために今私がやるべきことがあるのではないか。

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