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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第27章 父の日の前夜 ~夢の余韻(start-2day)~彩香編②
彩香は頰を少し赤らめながら、照れくさそうに微笑んだ。

「うん……最初はそれが怖かった。でも今は、逆にそれが嬉しいの。
健治さんは私を本気で守ってくれようとしてる。
幼い頃にお父さんがいなくて、
ずっと寂しかった私に、初めて『全部預けていい』って思わせてくれる人なの。
逞しい腕でぎゅって抱きしめられると、すごく安心する。
朝起きたときも、夜寝るときも、
健治さんの厚い胸に寄りかかっているだけで幸せなんだよ」

美奈子はため息をついた。

「でも、20歳も年上だし、バツイチで子供もいる人でしょ?
彩香が全部を捧げすぎて、後で後悔しない?
仕事も辞めちゃって、経済的にも依存しちゃってる状態じゃ
……もし何かあったら逃げられないよ?」

彩香は静かに、しかしはっきりと言った。

「わかってる。母さんにも同じこと言われた。
でも私、恋愛未経験だったし、ずっと年上の人にしか惹かれなかった。
健治さんは私のそういう部分も全部受け止めてくれる。
怖いときもあるけど、それ以上に愛おしいの。
『お前は俺のものだ』って言われると、胸が熱くなって……
もう離れたくないって思っちゃう」


恵美が複雑な顔で言った。

「彩香、目が完全に恋する女の子になってる……。
前は地味で控えめで、アニメと野球観戦が趣味だった子が、
こんなに一人の男性に夢中になるなんて……」

美奈子が最後に真剣な目で彩香を見つめた。

「彩香が本当に幸せなら、私たちは応援するよ。
でも、もし『やっぱり重い』とか『怖い』って思ったときは、
絶対に我慢しないで連絡して。
いつでも迎えに行くから。逃げ場は確保しておいてね?」


彩香は二人の手を交互に握り、優しく微笑んだ。

「ありがとう、美奈子、恵美。
心配してくれて嬉しいよ。でも今は大丈夫。
健治さんの愛は重いけど、私はその重さに甘えたいって思ってる。私が選んだ道だから」

三人は少し沈黙したあと、話題をアニメや昔話に変えて笑い合った。
しかし美奈子と恵美の目には、まだわずかな不安が残っていた。

カフェを出るとき、彩香のスマホに健治さんからメッセージが届いた。

《もうすぐ帰るのか? 迎えに行こうか》

彩香は頰を緩めながら返信した。

友人たちはその笑顔を見て、静かにため息をついた。
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