この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SAKURA(さくら)
第1章 しだれ桜
8
「あ、あの…ね……」
「………」
吐息が、近い。
その、甘い香りで、いっぱいになりそう…
「さ、さっきもさ…」
「………」
逸らない目も、近い。
「さっきもさ、ずっと見てた…もんね……」
「あ……」
『触りてぇなぁ…』
ヤツの声が…
逸らしてしまう。
「ねぇ、知ってる?…」
「え…」
「ストッキングってさぁ…」
「………」
「どんなに小さなほころびでもさぁ…」
「………」
「一つでも、ほつれちゃったらさぁ…」
「………」
「ストッキングとしての価値が………
ゼロに、なっちゃうのよ……」
「……っ」
言葉を、返せない…
「わたし…も……同じ……」
「あ、い…ぃゃ………」
何を、返せば、いいのか…
「わたしも…さ……」
目が逸れ、下を、いや、自分のストッキングの伝線を見つめ…
「なんか…さ……」
そして、俺の指先に添え、伝線のスジをさかのぼる…
「あ……」
「でもね…」
心が、跳ねる。
「じっと…
ずっと、見てくれてね…」
「………」
かかる吐息の甘さに、むせそう…
「見てくれて…嬉しかった……の………」
指先が、絡んできた――
「ゼロじゃ…ないんだ…て……」
『直に舐めてぇなぁ…』
俺も、あの時、ヤツの呟きに、同調したんだ…
「慶太くんは…見て…くれるんだ…て……」
「………」
「だ、だから…穿き…変えなかった…の…」
触れ合う指先が震え…
「さ、触って…欲しく……て………」
弥生さんと、ゆっくりと、ひとつに繋がっていくみたいに…
「も、もっと、見て…欲しく……て……」
触れるナイロンが湿り、吸い付く―――
「ほら…まだ……わたし…は………」
「………」
「まだ…散って…ないんだなぁ…て……」
「………」
それは、昨夜の…
『触れたら、簡単に散っちゃうんですからぁ』
『ほら、しだれ桜ってぇ…
弥生さんみたいに繊細なんですからぁ…』
美卯の…言葉―――
「見て…触れて……くれる……て………」
「あ…や、弥生さんは………」
どう、言い表してよいのか……
その先が、続かない―――
「あ、あの…ね……」
「………」
吐息が、近い。
その、甘い香りで、いっぱいになりそう…
「さ、さっきもさ…」
「………」
逸らない目も、近い。
「さっきもさ、ずっと見てた…もんね……」
「あ……」
『触りてぇなぁ…』
ヤツの声が…
逸らしてしまう。
「ねぇ、知ってる?…」
「え…」
「ストッキングってさぁ…」
「………」
「どんなに小さなほころびでもさぁ…」
「………」
「一つでも、ほつれちゃったらさぁ…」
「………」
「ストッキングとしての価値が………
ゼロに、なっちゃうのよ……」
「……っ」
言葉を、返せない…
「わたし…も……同じ……」
「あ、い…ぃゃ………」
何を、返せば、いいのか…
「わたしも…さ……」
目が逸れ、下を、いや、自分のストッキングの伝線を見つめ…
「なんか…さ……」
そして、俺の指先に添え、伝線のスジをさかのぼる…
「あ……」
「でもね…」
心が、跳ねる。
「じっと…
ずっと、見てくれてね…」
「………」
かかる吐息の甘さに、むせそう…
「見てくれて…嬉しかった……の………」
指先が、絡んできた――
「ゼロじゃ…ないんだ…て……」
『直に舐めてぇなぁ…』
俺も、あの時、ヤツの呟きに、同調したんだ…
「慶太くんは…見て…くれるんだ…て……」
「………」
「だ、だから…穿き…変えなかった…の…」
触れ合う指先が震え…
「さ、触って…欲しく……て………」
弥生さんと、ゆっくりと、ひとつに繋がっていくみたいに…
「も、もっと、見て…欲しく……て……」
触れるナイロンが湿り、吸い付く―――
「ほら…まだ……わたし…は………」
「………」
「まだ…散って…ないんだなぁ…て……」
「………」
それは、昨夜の…
『触れたら、簡単に散っちゃうんですからぁ』
『ほら、しだれ桜ってぇ…
弥生さんみたいに繊細なんですからぁ…』
美卯の…言葉―――
「見て…触れて……くれる……て………」
「あ…や、弥生さんは………」
どう、言い表してよいのか……
その先が、続かない―――

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


