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SAKURA(さくら)
第1章 しだれ桜
 12

 弥生さんの唇は…

「け、慶太……く…ん………」

 甘い、ルージュの、味がした。

「あ……」

 抱き合い、貪り合いながら、ベッドへと倒れ…

「ねぇ…」

 掴まれた指が、ストッキングの脚へと導かれ…

「ここ…ほころびの先よ……」

「…………」

 ほつれの線を、さかのぼっていく―――

「こ、これが……わ…たし………」

 広がり、小さく、震える脚…
 
「あっ…」

 激しく跳ねる、鼓動。

「ねぇ、見てぇ……」

「………」

「ねぇ、触れてぇ…」

「………」

 指先が、ほつれの先へと、這い…

「ね、ねぇ、けい……た………」

 逸れずに、濡れた目で、見つめ…

「………」

 爪先を、小さなほつれの穴へ、導かれ…

「ね……」

「………」

「破って…」

「………っ」

 逸れない、目。

「大丈夫……」

「………」

「わたしは……壊れ……ない……から………」

 壊れない…

「簡単に…散らない……からさぁ………」

 静かな艶が、逸れじに昂ぶっていた―――

「さぁ……けい…た………」

 その目には、抗えない…

 いや、魅せられてしまった。

「あ、は、はい……」

 ビリビリ――

 そこから、一気に、ほころびの線が、左脚全体に走り抜けていく…

 それは、まるで…

 弥生さんの、声にならないままの―――

「さぁ……」

 弥生さんは、両手を広げ…

「…………」

 俺は、吸い寄せられ…

 しだれる情愛の想いに…

 魅せられ…

 弥生さんに、融けていく―――


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