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蝶恋乱舞~禁断の策略愛に溺れて
第4章 素顔の信長
帰蝶は夫である信長を追って、読経の響く本堂を飛び出した。

信長の父、織田信秀の葬儀が執り行われている、萬松寺の境内。

信長は寺の門をくぐり、居城である那古野城まで歩いて戻るつもりらしかった。
帰蝶が走って蹴散らす砂利の音に、信長が振り向く。
「ついてくるな」


帰蝶が信長のいる那古野城に輿入れして、三年が経つ。
若い夫婦を可愛がってくれた義父の信秀は、三日前、四十一歳という若さで病死した。

その父親の葬儀の場に、信長はとんでもなく場違いな格好で現れた。

腰に下げた瓢箪や火打ち袋。
信長はそれらをがちゃがちゃ鳴らし、大股で位牌に向かって歩み出て、焼香台の前に立つと、拳に掴んだ抹香を、父の位牌に向けて思い切り投げつけたのだった。

沈黙の冷笑を背中に受けて寺をあとにした信長は、黙々と大股で歩き続け、那古野城内に戻り、自身の居室にたどりついた。

小走りで追いかけてくる妻にかまわず、信長は床に大の字に寝ころがる。

帰蝶は息を切らして信長の居室に続くと、後ろ手で部屋の障子を閉めるやいなや、信長の体の上に跨った。

これまでおとなしかった妻の突然の暴挙に、目を見張る信長だった。
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