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邂逅
第1章 邂逅

踏ん張っていた脚が片方自分の意思と無関係に浮き、今度は淵音がバランスを崩してよろける。

淵音「く...!?んうっ...!!」

膝を付かされてかえって足場が安定したのを利用し、空形は自分の体をぶつけて淵音を押し退ける。倒れるまでの短い間、淵音は空形の首を捕らえていた腕をほどき、虚空を一二度掻き回す。締め付けから解放されて空形が最初に見た光景は、淵音が川面に背中を着けて水飛沫を上げているところだった。
裾どころか上体までずぶ濡れにさせられた淵音。背中に服が張り付く感触を覚えて、空形への苛立ちが芽生える。

淵音の内心など一切構わず距離を詰める空形。仰向けの相手に覆い被さり、襟を取って首を絞め始める。

淵音「けほ...く、ひぃ.......」

布で満遍なく首を圧迫されるだけでも体に異様な緊張が起こるが、それに加えて真上から空形の体重ものしかかる。声にならない潰れた悲鳴と共に吐息を漏らし、表情が強張っていく様を晒してしまう。
首が急激に絞まる苦痛に意識を支配された淵音は、脚を空形の懐へと必死にねじ込む。さらに空形の襟を掴み返して勢い良く後転する。

淵音「ふはぁぁっ......!!」

ねじ込んだ足を空形の腹にしっかりと突き立てたまま、自分の真上を滑らせるように相手を飛ばす。
首元の拘束が完全に解けたのと自分のすぐ側で上がった水飛沫が視界に入ってくるのはほぼ同時だった。

空形「はっ...!?あぁぁっ......!!」

水飛沫が収まった直後に淵音が立ち上がり、一拍遅れて空形も立ち上がる。
共に髪までずぶ濡れの二人。再び睨み合うとお互い最初の時よりも陰湿な眼差しをしているのが分かる。
そして、水気を吸った服がぴったりと体にくっついてその輪郭をありありと示す様子も目に入る。

「「............。」」

服の上からおおむね同等の体格だろうと推測してはいた。だが実際の姿を目の当たりにして芽生えたのは女としての対抗意識だった。二人とも日々の作業と鍛練をこなしていて体には自信を持っている。
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