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『春の嵐』
第3章 序章。
それが、卒業を控えたときになって、再び、噂になった自分と恵樹との関係。

可愛かった恵樹だけど、今は、中学三年生。9年前とは全然違う。

110センチ程度だった恵樹。そして、120センチ程度だった梨々香。

170センチ程度になった恵樹。そして、160センチ程度になった梨々香。

身長差は同じ10センチでも、背が高かった梨々香が今は低い。

メガネをかけた恵樹。あの頃の可愛らしさはない。

男っぽい格好と言動が増えた梨々香。あの頃の学年のアイドルという雰囲気はなくなっていた。

男の子から男に成長した恵樹。

可愛いと言われ続けていたのに、それを振り払うかのように、髪を切り、顎を突き出して、荒っぽい言葉を使うようになった梨々香・・・。

そんな梨々香を悲しげに見る恵樹。その視線を跳ね返すように睨む梨々香。

でも、梨々香のカラダは恵樹の視線に疼く。

あの頃のように、ハグして欲しい。いいえ、ハグをしたい。そうすれば、あの頃に戻れるような気がした。

毎日していたハグ。あれが禁じられた結果、大きな喪失感があった。小学校に行きたくないとさえ思うようになった。

先生が禁止したから、恵樹も、よそよそしくなった。徐々に吹き始めた隙間風。

先生たちは、梨々香を嫌いな男子と同じグループにするようになり、恵樹に他の女子と同じグループにして仲を裂こうとした。

当時の梨々香にはわからなかったが、今の梨々香にはわかる。

あの先生たちの動きの裏に、同級生の保護者達の圧力があったことを。

特に、男子の保護者。梨々香が相手にしなかったというより嫌っていた男子たち。

変態医師の息子や、虚言癖の男子たち。ハグどころか、視界に入るだけで汚らわしいと思っていた男子たちの保護者が、先生たちに圧力をかけた。

だから、あのあと、視界に入れたくもない男子たちと同じグループに無理やりされた。

ますます、行きたくなくなった小学校。それでも通い続けた。

でも、もう限界。

好きなのに、話しかけることすらできない。

恵樹の視線は相変わらず優しい。でも、それを受けいられない。視線ではなく、優しくハグされたい。

でも、叶わない。だったら、ここにいても意味がない。だから、受験を考えた。
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