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路地裏文化研究会
第2章 ピンクの電話が鳴って
 昭光堂書店に中村さんを訪ねてから翌々日くらいでした。アパートに帰ると、植木鉢に水をやっていた大家のおばさんに声を掛けられました。

 「ああ、おかえりなさい。今日、電話があったわよ。また、掛けるって言ってたけど。古本屋のナントカ堂って言ってたかしらね」

 わたしはすぐに合点がいきました。中村さんが掛けてきてくれたのでしょう。こちらから掛け直そうと思った次の瞬間、中村さんの電話番号を控えていなかったことに気付いたのでした…。

 わたしの部屋は一階。アパートは玄関が通りに面しているだけで、家は奥に伸びています。部屋からの景色は、ほとんど隣のお家との境に立っているブロック塀ないのですけど。じりじりした気持ちでいてブロック塀を眺めているうちに日も暮れかかってきた頃、ようやくおばさんの声が聞こえました。

 「桜井さーん、電話」

 急いで扉を開け、スリッパをつっかけて廊下に出ます。玄関に置かれたピンクの電話。

 「本でも注文してたの? 勉強熱心ね」

 おばさんがボテッとした形の受話器を渡してくれると自分の部屋に引っ込んでいきました。この電話で話をするのって、引っ越しが済んだと実家に電話したとき以来かも。

 「お待たせしました、桜井です」
 「ああ、桜井さん、こないだはどうも、中村…古本屋の中村です」

 名字だけでは伝わらないとでも思ったのでしょうか。律儀な中村さん。

 「こちらこそ、ありがとうございました」
 「いやいやどうも…ええー、その、研究会のですね、次の会合なんですけど、急な話で申し訳ないんだけど、明後日の水曜日でどうですか? 来られますか?」
 「あ、はい、水曜日ですよね。あの、わたし講義があるので、ええと…3時半くらいには大学を出られると思うんですけど…場所はどちらですか?」
 「ああ、そうだね、ごめんごめん…場所はね、ウチの…昭光堂書店の二階なんですよ、いっつもね」
 「あ、わかりました、だったら4時にはお伺いできます」
 「ありがとう。みんな楽しみにしているから、よろしくお願いしますね。ああ、その日は店は休みなんでカーテン閉めてるけど、戸の鍵は空けておくから構わず入って来てくれたらいいから」
 「はい、わかりました、伺います」
 「あ、そうそう、あなたお酒呑める? 何回生だっけ?」

 耳元で囁かれているような気持ちになりました。
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