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路地裏文化研究会
第1章 路地裏文化研究会
 「年齢を不問にしてくれるのはお嬢さんのほうだよね。有難いことだ」
 「いえ、そんな…」

 おじさんが好きなので、ちょうどよかったです…とは言えませんでした。

 「不定期なんだけどね、路地裏歩きをしたりしていてね。歩いた後は、まあ、飲んだり食べたりもしているんで、どっちが目的だかわかんないような集まりだけど、よかったら是非…」

 わたしが大学で見聞きするサークル活動も、粗方そんなものなので違和感は感じません。

 「あ、はい…。ええと、それで、あとどうすればいいですか?」
 「ああ、そうだね…。次の会の日にちとか決まったら連絡したいんだけど…」
 「アパートの共同のピンク電話の番号でいいですか?…」

 そう言ってから、わたしは、番号を諳んじていないことに気付きました。今まで誰かに電話番号を伝えたことなんてなかったから、もちろん聞かれたこともなかったし…。

 今度はわたしがカバンの中をゴソゴソして、手帳に書き留めていた電話番号を見つけ出しました。見守っていた中村さんがメモ用紙とボールペンを差し出してくれました。写し間違えないように数字を1つずつ書きました。

 「よければお名前も…」

 気が利かないわたしです。書き足してメモを渡しました。

 「〇〇町△△荘3号室の桜井奈津美さんか…。字も綺麗だね」
 「ありがとうございます…」

 昔から、字は綺麗と言われたことはありましたが、なぜか中村さんは「字も」と言ってくれて、ちょっと嬉しかった…。これこそ社交辞令なのでしょうけど。

 「街歩きの報告をまとめて会報を作ったりもしているんだ。会員はたった数人しかいないんだけどね。いずれお嬢さんにも是非書いてほしいね」

 ”数人の会員”も中村さんみたいな人なのでしょうか。

 「ありがとうございます。中村さんのほかにはどんな方がいらっしゃるんですか?」

 自分でも驚くくらいに質問が自然に口から出てきました。
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