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路地裏文化研究会
第1章 路地裏文化研究会
 「ああ、それそれ、すみませんね…。ええと、どれどれ…。ああ、そうそう、建築や風俗…うん、見学や調査…そうそう」

 記事を追いながら呟いていた中村さんが顔を上げました。

 「いろいろ書いてるけど、まあ、ボクみたいなおじさんばっかりの小さな会なんだけどね…。それでも構わなければ…」
 「え? あ、はい、大丈夫です…」

 若い人とかよりもおじさんみたいな人のほうが、安心できそうな気がしました。昔のこととかいろいろご存じでしょうし。というか、若い人よりもおじさんのほうが好きなんです。昔から。今でも、その…わたしが思い描く世界にいるのは、だいたい年上の人でした。

 「歴史好き…とでも言えばいいのかな、昔を懐かしむのが好きな手合いが集まってたんだけど、おじさんばっかりで、やれ腰が痛いだの、膝が痛いだの、いまひとつパッとしないからってね」

 中村さんが苦笑いしています。そんなに卑下しなくてもいいのに。わたしは、何となく居場所を見つけたような気持ちになっているのですから。

 「はあ…」
 「それで、新入会員を募ろうっていうことで、随分前に『〇〇タウン』に載せてはみたものの、全然反応がなくってね。みんな諦めてたんだ。それにしても、よく見つけてくれたね?」

 中村さんは感心しています。

 「え? 随分前…ですか?」

 中村さんに返された『〇〇タウン』は3年も前に発行されたものでした。特にくたびれてもおらず、てっきり最新号とばかり思っていました。喫茶店で手に取る人はいなかったのでしょうか…。わたしは何も言わずに『〇〇タウン』をカバンに仕舞いました。

 「それにしても、お嬢さんみたいな人が来てくれるなんて思ってなかったよ。みんな喜ぶよ」
 「あ…『年齢不問』って書いてあったから…」

 ピントのズレた答えをしてしまったと思いながら、とにかく、こんなわたしでも喜んでくれるなら有難いと思いました。まあ、社交辞令というものなのでしょうけど。
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