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路地裏文化研究会
第11章 輪読会
 『此方から申し上げますが、投稿にありました通り、激しく昂ぶられたのですよね。無理もないことでありましょう。しかも聖人君子たるべき聖職にある男女なのですからね』
 『はい』
 『ただ、投稿を拝見して編集子が強く感心致しましたのが、それが今回、インタヴュウのお声がけをした最大の理由でもあるのですが、貴女は翌日、女の先生の様子と所感を述べらておられましたね』
 『はい。先生の授業があったのですが、普段と何ら様子が変わることもなく、昨夕の出来事が幻であったと思うほどでした』
 『まだお若い先生でおられるのに、大変堂々とされていたと。そして、貴女も先生に嫌悪感を抱くのではなく、むしろそのようにありたいと内省されている。ここに編集子はいたく感心を致しました』
 『はい。何かしら秘すべきことを抱えていても、やましいと敢えて感じることではないと思いました』
 『それで弊誌に投稿いただいたのですね』
 『貴誌に掲載されている様々な記事が頭に浮かびましたし、わたくしが感じた想いを共有してくださる方がいらっしゃればと、投稿欄のことが頭に浮かびました』
 『誠に冷静な筆致でありまして、如何なる女性であるかと楽しみにしておりましたが、こうしてお逢いしてみれば、やはり想像していた通りの才媛でありました』
 『恐れ入ります』

 「いや、誠に”才媛”ですな。このころの女学生というのはこういう感じだったかね」
 「どうだろうね。皆が皆という訳ではなかっただろうが。投稿文を是非見てみたいものだね。文華堂さん、よろしくお願いしますよ」
 「はいはい」

 中村さんが(わかってますよ…)というように頷いています。

 「きっと良妻賢母になったのであろうね」
 「今でも投稿しているんじゃないかね」
 「文章から写真に?」

 おじさんたちは感じ入ったように感想を述べ合っています。

 「まだ続きがありますが、この辺にしておきますか?」

 中村さんが紙から目を上げます。

 「ああ、失敬」
 「『××××』の編集子がこれほどの才媛をこれだけで解放するとは思えないね」
 「才媛にしたってそう思うだろう」
 「そういうことですよ」

 ガリ版に文章を写して顛末を知っている中村さんがにんまりと笑っています。
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