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路地裏文化研究会
第10章 ブルーフィルム
 部屋は暗いままですが、おじさんたちがわたしを見ているのはわかりました。

 「そうですね。なんだか、わたしの田舎で当たり前にありそうな感じはしました」
 「じゃあ、リアリティはあったってことだね」
 
 とりあえず拙い感想にも感心してもらえたようでちょっと安心しました。

 「リアリティを感じたのは、どの辺?」
 「川のそばの小屋とか…。多分、いまもあると思います」
 「なるほど。いいよね、ああいう建物って妙に秘密基地めいていて。じゃ、次のフィルムにいきましょうか」

 吉川さんが次のフィルムをセットしました。

 「おぉ、いいね。今度はやけに激しいぞ」
 「ほほう。そこからそう来ますか。なかなかのもんだね」
 「女の人がちょっとカメラと視線が合ってしまうところがいいね」
 「いいよね。ちょっと戸惑ってる感じが素人っぽくてさ」

 おじさんたちが時々呟いています。そんな感じで、同じようなフィルムをあと何本か皆で見たあと、映写会はお開きになりました。

 「奈津子ちゃん、どうだった?」
 「やっぱり、こういうのって昔からあったんですね」
 「そういうこと。やってることは昔も今も大して変わらない」
 「それなのに最近は妙に味気なくてね」
 「それはみんな歳をとったからだよ。でも、雰囲気を大事にしたいよね。じゃあ、そろそろ始めますか」

 吉川さんが電気をつけ部屋の四隅にビデオカメラをセットします。ほかのおじさんたちも映写機や卓袱台を片付けたり、布団を敷いたりしています。

 「すっかり堪能させてもらったよ。バッテリーがもってくれてよかった」
 「いい画が撮れただろうね。奈津子ちゃんのおかげだよ。今度、奈津子ちゃんの田舎に行って掘立小屋を撮って来ないか? 花街っていうよりも、掘立小屋のほうが雰囲気としては好きだな」
 「”青写真”の変更か。いいかもしれないね。でも、奈津子ちゃんの後を俺たちがぞろぞろついて歩いているのかい?」
 「ははは。締まらないね。いやあ、今日もありがとう。また次が楽しみだね」

 おじさんたちは満足したようです。わたしも満足して秘密基地を後にしました。ブルーフィルムを見て、おじさんの感想も聞いていたせいか、今日はわたしもちょっとカメラを見てしまいました。一応、素人のつもりなので。
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