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2026 人質交換を託された女
第2章 大役
更衣室の扉を開けると、私を羽交い絞めした男が側に立っていた。

「さっきの物を渡してもらおう…」と告げられた。

素直に応じ、右の耳からイヤホンを取り出し、男の手のひらに乗せた。

「アクセサリーも外しておけ…」

私が髪を耳に掻き上げ、ピアスに指を伸ばした。その時、意図的に男の顔を正面で捉えるように耳裏に指を添えた。顔の輪郭を基に、身元特定に役立てばという気持ちからだった。

「それは外してもらう…」と男の短い指示だった。
私は思い切って、左手の小指を男に見せた。
「じゃあ指輪は…?」と男に尋ねた。

男はじっくりとピンキーリングを見つめ、石が付いていないことを確認したのだろう。

「それは外さなくていい…」と告げられた。

「管理職の女性に感謝するんだな…」
主犯格の男は女性トイレ横の壁に寄り掛かっていた。

それは課長だとすぐに気付いた。女性行員の中で唯一の管理職だったからだ。私のお願いを快く承諾してくれた女性だった。
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