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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第29章 始まりの海と再会の予感
入口には木造りの鳥居がある。その少し先には拝殿代わりの庇が据えられている『神明造』と言われる古式の建築方法で建てられている本殿が静かに佇んでいた。

この鳥居+神明造りの本殿というのは、伊勢神宮におけるほぼすべてのお社に共通する造りである。

「えっと、ここの神様って?」
「ちょっとまってね・・・」

ぽちぽちとスマホで調べてみると、ここに祀られているのは倭姫命(やまとひめのみこと)という女神様らしい。この姫神様は、第十一代垂仁天皇の娘であり、皇大神宮・・・つまり、伊勢神宮の内宮を作った方なのだそうだ。そして、作っただけではなく、初代の『斎宮』(さいぐう)・・・つまり、巫女さんになった人でもある。

伊勢の斎宮と言えば、学校でも習う『伊勢物語』の中にもそれにまつわるストーリーがあり、伊勢物語に『伊勢』という名がついた由来にもなっているわけだ。在原業平が活躍したのは平安時代だから、本当に伊勢神宮は当時、すでにここにあったのだろう。

お賽銭箱にお賽銭を入れ、お参りする。
あまりの歴史の深さに圧倒され、もはやご利益どうこうというレベルを超えている気がする。

「なんか、他の神社とは違う感じだな・・・」
「ホント、すごいよね」

ふたりとも、そんな感想しかなかった。

この倭姫宮では御朱印もいただけるようだ。ここまでくる途中にあった宿衛屋というところで直書きで頂戴できるらしい。

「おお!シンプルだな」

彼が言う通り、中央に『倭姫宮印』とある朱色の角印、その右手に本日の日付『令和8年4月11日』と墨字で書かれている。とてもシンプル。

でも、それがとてもいい。
私の経験では、歴史のある神社ほど御朱印がシンプル、という法則がある。

倭姫宮をあとにして、次に向かったのは伊勢神宮の外宮にある駐車場である。
そこで車を停め、歩くこと10分ほど、たどり着いたのが『月夜見宮(つきよみのみや)』である。先程の倭姫宮と違い、こちらは『外宮』の方の別宮だそうだ。
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