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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第28章 結ぶこころと絡まる指先
☆☆☆
「ゆらさんも飲むよね?」

お風呂上がり、いい感じに桜色になったほっぺの私と素直さんは、お部屋にあるちっちゃいテーブルを挟んで向かい合っていた。

はい、と湯呑みに注がれたのは、大神神社の酒造、今西商店で購入した『春酒ものがたり』である。ちょっと発泡しているように見えるのは無濾過であるがゆえのようだった。

「乾杯しよ」
素直さんがひょいと杯を掲げる。
「うん。何に?」
「そうだな・・・
 古都奈良に・・・ってのは?」

二人で『古都奈良に』と言い合って、杯(正確には湯呑みだが)を掲げて、お酒を一口。口に含んだ瞬間、ぱちんと弾ける刺激があり、その後を追いかけるみたいにふわっとフルーティな香りが広がる感じ。お酒臭さがなくて、とても飲みやすい。

「おいしい・・・」
「さすが、名水は銘酒を生むって感じだな」

ある意味、三輪山という神域のお水を使ってるのだから、銘酒というよりは神酒と言ってもいいのかもしれない。

「そう言えば、ゆらさん、神社だけじゃなくて
 和歌とか万葉集とかもよく知ってるのな」
大学で専攻だったの?とか聞かれたが、私の専攻は理系だったりする。国語はどちらかというとからきしだった口だ。

「あ、う、うん・・・好きだったんだよね」
ただ、昔から詩だけは別だった。
短い中に気持ちを込めて表現する、ということが私にとって、自分の心に合った表現方法だったのだ。

なので、高校生になって古文が授業に加わって、そこで知った『和歌』はとても気に入った。

五・七・五・七・七

たったの三十一文字の中に自分の気持ちを込めていく。
しかもパッと見わからない感じで織り込んだりすることもある。

心はまっすぐ伝えるだけじゃない、っていう私の考えにぴったりだったのだ。

お酒を飲みながら、今日行った神社のお話に花が咲く。

春日大社の鹿、ちょっと怖かったよね〜、とか
石上神宮って本当に神剣が眠ってたのかな〜、とか
大神神社、また行くことがあったら今度は山にも登ってみたいね〜とか

気持ちがふわふわして、
楽しくて、嬉しくて、もっと近づきたくなっていく。

お酒のせい、ばかりじゃないと思う。

「ゆらさんも和歌作れるの?」

そう聞かれた。
もちろん、私も和歌を作ることもある。
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