パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第2章 微糖

「部長、ありがとうございました」


後ろを振り返ると、多田さんが頭を深々と下げていた。
彼女は本当は優秀なのに、会社の男どもが彼女の素敵な企画案を潰していたのだ。
私は彼女の企画案を採用した。


「これからも素敵な企画案を楽しみにしてる」


ニッコリと微笑む多田さん。
前から彼女のことを知ってはいたけど、最近何だか……


「綺麗……」
「え？部長？」


女性に興味はないのに、綺麗だと呟いてしまった。
前まではあまり思ったことがなかったのに、なぜだか、ここ最近の彼女は綺麗だ。


「ごめんなさい。あなたの笑顔が綺麗で……」
「ありがとうございます！」
「……プライベートが上手くいっているのね」


笑顔が綺麗な子は、だいたい皆恋をしていて
プライベートが上手くいっている。
私はもう何年恋をしていないんだろう。
仕事に身を捧げてしまって、年齢を重ね……つい先日50歳になってしまった。


「私、振られちゃったんです」
「え！？」


まさかの返答に大声が出てしまった。
プライベートが上手くいっていない。
なのに、最近は色気も出ていて
男性社員たちが噂をしている。


「彼氏とは別れたんですど……私を生まれ変わらせてくれた人がいて。
1日だけの恋人なんですけど」


最初で最後の恋人ということは、もう彼には会えないということなのだろう。
どういう事情でそうなったのかは分からないが…
1日だけの恋人ということは、ワンナイトということだろう。
大人しそうな彼女が、ワンナイトを選ぶなんて…想像できない。
だけど……よっぽどよかったのだろう。