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赤椿の島、青き恋~椿島の人魚たちへ
第4章 心に降る雨ー海辺にて、炎の一夜。身も心も燃やし尽くしてー
ー香蘭、香蘭。


 また、《彼》が私を呼んでいる。呼び声が次第に遠くなってゆく。香蘭は狼狽を滲ませ叫んだ。
ーお願い、私を置いてゆかないで。


「ー蘭、香蘭」


 我が身を呼ぶ声に、香蘭は大粒の涙を零した。


「お願い、行かないで。私を一人にしないで」


 香蘭はゆるゆると眼を開く。愕いたことに、彼女は夜具にくるまれ、泥や海水に汚れていた身体も綺麗に拭かれていた。


 震えるほど寒かったのは、発熱していたからだろうか。竈には湯気立つ鍋がかかり、赤々と火が燃えていて、家の中は快適な暖かさとなっている。
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