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イケナイアソビ。
第7章 咎人-出逢い編-
「お前の名は何という?」
「藤次郎……」
これで何度目の質問だろう。名を訊ねられ、今度こそ、藤次郎はすんなりと自分の名を名乗った。
「藤次郎。いい名だな……」
銀之助の唇が藤次郎の首筋を這う。藤次郎だって銀之助が欲しい。けれど隣の座敷には少女が眠っている。
「あっ、待って……」
「待たぬ。これほどまでに誰かを欲したのは生まれて初めてだ」
子供がいる手前、淫らなことはできないと銀之助の分厚い胸板を押す藤次郎に、けれど銀之助は受け入れず、藤次郎の着物の合わせ目を開いた。
「あっ……」
薄い唇が藤次郎の鎖骨を食む。銀之助の熱を感じた藤次郎の細い腰が大きく跳ねた。
彼の手が藤次郎の太腿を円を描くようにして撫でる。あらわになっていく下肢――銀之助は藤次郎の絹のようなしっとりとした肌触りを楽しんでいた。
藤次郎はこのまま銀之助に抱かれるのかと彼の広い背中に腕を回したその矢先だ。
「銀之助様! あの子の親がだれだかわかりやしたぜっ。父親は流行病で。母親は数ヶ月前、仕立てを終え、注文を届けに家を出た時に早馬に蹴られ、亡くなったそうでごぜぇやす」
突然、縁側から人影が現れた。その人物は昼間、少女を連れて訪れた番所の役人だった。
少女の身元が判明し、飛んできた役人は、しかし藤次郎を組み敷いている銀之助の艶事の真っ最中であることに気がついた。
藤次郎は慌てて銀之助から離れると、乱れた裾を引き寄せる。
「あ、すいやせん。お邪魔でしたかね?」
銀之助の恐ろしい剣幕が不作法な役人を射貫く。
「……母ちゃん、父ちゃん」
異様な雰囲気が流れる中、少女の悲しげな声が隣の座敷から聞こえた。
襖から藤次郎たちが少女を覗き見る。
どうやら寝言のようだ。目尻におはじきほどの大きな涙が浮かんでいる。
「可哀相に。両親の夢でも見ているんですかね」
役人が口を開いた。
「迷子石には貼り付けてきたが、親戚筋が引き取りに来ない場合は……もしあの子の引き取り手が現れなければ、このまま三人で一緒に暮らすか?」
「えっ?」
「あの子供はお前に懐いているし、できんこともないだろう」
それはつまり、藤次郎が銀之助の傍にいてもいいということだろうか。
藤次郎の胸が熱くなる。

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