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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
(一)
俺の名前は可愛(かわい) 愛良(あいら)。
数ある名前のうち、日本ではそう名乗っている。両親に無理矢理名付けられたこれは女の子みたいな名前だけど、ここ、聖亜(せいあ)男子高校に通う正真正銘の男。
世間では一応、高校二年の一六歳っていうことになっている。
えっ? 人気のない裏庭で先輩と何をしていたかって?
う~ん、人間で言うところの、『食事』ってとこかな。
食事っていうのはその名の通り、『ご飯を食べていた』っていうこと。
だけど俺のはみんなのそれとは少し違う。
それは気絶していた先輩がすべてを物語っているわけで……。
えっと、つまりね。
食事ってのは植物や魚といった極々一般的な人間が食べるようなものではなく、人の生き血。
ーーそう、俺は吸血鬼。
ううん、俺だけじゃない。両親も吸血鬼だ。
一〇〇年前に起きた恐ろしい山火事で、俺たち家族はすでに死んでいる。
その俺たちがこうして吸血鬼になってまだこの世界に生きているのは、善良なる吸血鬼である、クロノスという組織の助けによるものだ。
なんでも彼らは神々と契約を交わしているらしく、古代から極めて希に起きる、神でさえも予測していない不慮の事故によって失った命を守るために存在しているのだとか。
ーーというわけで、俺にとっての『可愛 愛良』の名前が数あるうちのひとつなんだ。
吸血鬼なら太陽は平気なのかって?
平気。
だって俺たち一族は吸血鬼の種族の中でも淫魔(インキュバス)と言われている種族で、とても魔力が強いんだ。
だから世間一般では苦手とされている、にんにくや十字架も敵じゃない。
鏡にだってきちんと映るんだから上手く人間社会に紛れ込める。
そしてさっきの先輩は吸血鬼にならないのかっていうと、それもならない。
そもそも吸血鬼は独特のウイルスを持っていて、ウイルスは魔力によって遺伝子操作されて変化する。だから俺たち吸血鬼側が魔力を乗せながらこのウイルスを人間側に送らなければ、彼ら人間は吸血鬼にはならない。
そうやってウイルスと共存しているのが吸血鬼ってわけ。
ーーとはいえ、実は吸血鬼がオカルトでよく言われている、『不死身』というわけでもない。
ウイルスのおかげで年を取る速度も人間よりずっと遅いのは事実だけれど、ね。

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