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紅蓮の夜に、君をさらう
第1章 炎の宮殿、出会いの夜

「ちょ、ちょっと……一人で歩けます!」
思わず抗議すると、彼はくっと笑って、
「嘘つけ。まだ足に力入ってないくせに」
言われた瞬間、体がぴくっと強ばった。
図星だった。
私は、彼の胸に顔をうずめた。
見えないように――熱くなった頬を隠すために。
そして屋敷の門が開き、中から数人の男たちが駆け寄ってきた。
どの顔にも、安堵と焦燥がにじんでいる。
「夜叉王っ! どこに行ってたんですか!」
「火の中に飛び込んだきり、戻らないから……!」
“夜叉王”。
その呼び名に、私ははっと息を呑んだ。
その人――彼のことを、皆がそう呼んでいる。
彼は部下たちの言葉にも動じず、静かに言った。
「憎きは王制であって、人ではないからな」
その声は冷たくも、どこか哀しみを含んでいた。
思わず抗議すると、彼はくっと笑って、
「嘘つけ。まだ足に力入ってないくせに」
言われた瞬間、体がぴくっと強ばった。
図星だった。
私は、彼の胸に顔をうずめた。
見えないように――熱くなった頬を隠すために。
そして屋敷の門が開き、中から数人の男たちが駆け寄ってきた。
どの顔にも、安堵と焦燥がにじんでいる。
「夜叉王っ! どこに行ってたんですか!」
「火の中に飛び込んだきり、戻らないから……!」
“夜叉王”。
その呼び名に、私ははっと息を呑んだ。
その人――彼のことを、皆がそう呼んでいる。
彼は部下たちの言葉にも動じず、静かに言った。
「憎きは王制であって、人ではないからな」
その声は冷たくも、どこか哀しみを含んでいた。

