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切り裂かれた衣
第4章 初めてのデート
 レストランを出た後、二人はモール内の店舗をぶらぶらと見て回ることにした。モール活気に溢れて人々で賑わっている。  

 衣美は雑貨屋のショーウィンドウに目を輝かせ、匠はそんな彼女を少し後ろから見守るように歩いた。

「ねえ、匠、あのアクセサリー可愛くない?」

 衣美が指差したのは、星型の小さなピアスだった。映画の星空を思い出して、思わず声が弾む。

「本当だ、衣美に似合いそう」

「ね、凄くかわいいなぁ」

「星空か……今度一緒に見ようか?」

 匠の言葉に、衣美は「えっ」とドキッとした。彼の真剣な目を見て、頬が熱くなる。

「……うん、いいね。約束だよ」

 指切りで約束をする。些細なことでも、また匠との約束ができたことが衣美には嬉しかった。

 しばらく二人でショッピングを楽しんだ後でフードコートのベンチに座ってアイスクリームを食べた。衣美はバニラ、匠はチョコレート。アイスを食べながら、衣美はふと匠に尋ねた。

「ねえ、お兄ちゃん……私に告白した時、どうやって勇気出したの?」

 匠はアイスを食べる手を止めて、少し考え込む。

「あれは……食堂で衣美見た瞬間、もうやるしかないって……言わないと後悔するって思って……衣美のこと、家庭教師の時から……ずっと、特別だったから」

「特別?」

 衣美が少し驚いて聞き返すと、匠は目を逸らしながら続けた。
「うん。衣美の笑顔とか、優しく教えてくれるとことか……なんか、いつも頭に残ってて。X大に入ったのも、衣美にまた会いたかったから……」

 衣美の胸が温かくなるのを感じながらアイスを口にする。自分でも気づかないうちに、匠にとって特別な存在なれていたことが嬉しくもあり照れ臭かった。

「……そっか、私も、お兄ちゃんに会えてよかったよ。ほんと、びっくりしたけど」

 二人は照れ笑いを交わし、アイスクリームを食べ終えた。

「私の彼氏になってくれてありがとう」

「……うん」

 並んでアイスを食べていた二人の肩がピタッとくっついた。

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