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母なる果実
第2章 後篇 果実の滴
 止めどなく溢れる欲望を、女は豊かな膨らみで丁寧に受け止める。

「たくさん溜まってたんだね…。全部出してね?」

 そう言いながら絞るように二つの果実を動かすと、最後であろう一滴が、びくんと軽い痙攣と共に、弱々しくとろりと膨らみの上に滴った――。

 男は、全力疾走をした後のように息を切らして、後ろに倒れ込んでしまう。

「いっぱい出たね。すっきり出来たかな…?」
「う、うん。ありがとう、ございました。」

 彼はどこか清々しさのある恍惚な表情で、満足そうに答えた。
 女もその姿に満足気な表情を浮かべながら、脇にあったティッシュ箱に手を伸ばすと、溜まったものを出し切って萎れた彼のものと、自らの豊かな膨らみにぶちまけられた欲望の証を丁寧に掬い取る。

「ごめんなさい、こんなに出ると思わなくて…。」
「いいんだよ。それだけ普段頑張ってるんだから、気にしないで。」

 罰が悪そうに、先程と同じ子犬のような表情で謝る彼に、愛おしさを湧かせながら優しく微笑みかける。
 そして同時に――鼻腔をツンと刺激するような、彼の欲望の匂いが、密かに彼女の身体を火照らせていた。
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