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からだはずっとあなたを忘れない ~体に刻む愛された記憶~
第1章 からだはずっとあなたを忘れない -完結-

〝かんじる〟はわからなかったが、〝いかせて〟とか〝もっと〟といった自分から求めるようなことばを夫の前で美也子は発したことはなかった。
それを変えてくれたのはまぎれもなく、今自分を歓喜の縁に立たせてくれようとしている圭一郎である。
でも、もうほんとうに今日で終わりにしなければならない…
この束の間の幸せのときを失いたくないと思いながらも、30をいくつも越えてしまった美也子は何か月もかかった決断を変えるわけにはいかないと自分に言い聞かせながら、頂上への最後の一歩を踏もうとしていた。
お互いの名を何度も呼び合いながらその瞬間がくる。
「けい…!」
圭一郎の名前を最後まで呼ぶことができなくなったとき、体の芯の奥深くを突き上げているものが一瞬ふくらみ、爆ぜるように繰り返し熱いものが勢いよく放たれるのを美也子は間違いなくしっかりと感じた。
「わたし… いく… あああっ… いくいく、いくっ! いく!!」
眉間が広がり、これまでその瞬間にあいたことのない眼がいっぱいに開いて圭一郎を下から突き刺すほど見つめながら、膝裏を彼の腕に抱えられていた細い両脚が空を蹴り上げるようにつま先まで痙攣してピンと伸びきって、美也子は意識が飛んだ。
でも、わたしのからだは決してあなたを忘れたりはしない…
何のせいかわからなかったが、その眼からとめどなく涙があふれて真っ白なシーツにこぼれた。
ー完ー
それを変えてくれたのはまぎれもなく、今自分を歓喜の縁に立たせてくれようとしている圭一郎である。
でも、もうほんとうに今日で終わりにしなければならない…
この束の間の幸せのときを失いたくないと思いながらも、30をいくつも越えてしまった美也子は何か月もかかった決断を変えるわけにはいかないと自分に言い聞かせながら、頂上への最後の一歩を踏もうとしていた。
お互いの名を何度も呼び合いながらその瞬間がくる。
「けい…!」
圭一郎の名前を最後まで呼ぶことができなくなったとき、体の芯の奥深くを突き上げているものが一瞬ふくらみ、爆ぜるように繰り返し熱いものが勢いよく放たれるのを美也子は間違いなくしっかりと感じた。
「わたし… いく… あああっ… いくいく、いくっ! いく!!」
眉間が広がり、これまでその瞬間にあいたことのない眼がいっぱいに開いて圭一郎を下から突き刺すほど見つめながら、膝裏を彼の腕に抱えられていた細い両脚が空を蹴り上げるようにつま先まで痙攣してピンと伸びきって、美也子は意識が飛んだ。
でも、わたしのからだは決してあなたを忘れたりはしない…
何のせいかわからなかったが、その眼からとめどなく涙があふれて真っ白なシーツにこぼれた。
ー完ー

